
弁護士:小池 翼
2014.07.05
- はじめに近年、オンラインゲーム市場は飛躍的な成長を遂げているところ、これに伴う社会的影響の増大もあってか、消費者庁から景品表示法違反を指摘されたいわゆる「コンプガチャ」や、法律上の規制には至っていない「RMT(リアルマネートレード)」など様々な問題点が論じられている。
これらオンラインゲームに関する諸問題について、そもそもどのような点に問題意識を持つべきなのかについて、オンラインゲームに関する一般的な知識の確認をするとともに、不当景品類及び不当表示防止法、著作権法、不正アクセス行為の禁止等に関する法律が適用される場面について、具体的なケースや裁判例を交えて発表した。
- 一般的知識オンラインゲームとは何か、どのような方法で顧客を集めているのか、どのような料金制度でゲーム事業者が収益を上げることが想定されているのか、などについての一般的な仕組みを発表した。
- コンプガチャ問題平成24年に世間を賑わせたコンプガチャ問題の概要や、それに対する消費者庁の対応状況、ゲーム事業者らによる自主的な対応状況、不当景品類及び不当表示防止法の適用場面などについて発表した。
- RMT問題近年のオンラインゲームの市場規模に比例するかのように、RMT(リアルマネートレード)、すなわち、「ゲーム内の財貨(マネーやアイテム)と現実の金銭との取引」の規模も拡大し、RMT専門業者が登場するなど、現実世界における経済的利益の獲得手段として投機的にRMTが利用されている現状を、実際のオークションサイトの紹介を交えて発表した。
そして、このRMTそのもの、あるいは、その過程において、著作権法、不正アクセス行為の禁止等に関する法律に抵触する違法行為や、インターネット取引特有の詐欺行為などが介在する可能性があることについて、裁判例を紹介して検討した。
- 終わりに今後も、オンラインゲームの市場規模は拡大していくことが見込まれ、これに伴い、現段階では想定されていないような問題が生じていくことも予想される。
このような中で、法規制の及ばない、あるいは、法改正が間に合わない場面においては、消費者の保護ひいてはオンラインゲーム市場の発展のために、ゲーム事業者による自主的な対応を促していくことも重要なのではないか。
